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道中漂流記

将来の夢はそぞろ神

才ある人 1

 何に対しても、才ある人というものは飄々としている。私は、やたら熱い血が流れている人間を数多く目にしたが、その中の一人たりとも才能に優れた人を見たことがない。(勿論、私が知らないだけで、熱血でありながらその道の達人になった人も中にはいるだろうが。)

 熱い血を流すのは勝手だが、彼が熱意の余り視野狭窄になり、自らの熱で火傷を起こしているのは見るに耐えない。せめて熱を制御するだけの実力を持ってもらいたい。これが出来無ければ、いつまでたっても二流のままである。

 一方で、才ある人はいつも飄々としている。呑気だとか、気分屋に該当する性格が多い。また、少数だが神経質なのもいる。だが、いずれも冷血が流れていることは慥かである。そして皆どんな形であれ、現実を受け入れ、且つ動揺を見せない器量を持っている。否、外面では動揺しているように見えるかもしれないが、内面では驚くほど冷静である。例えば、死刑宣告の2時間前になっても、愉快に囲碁を差している人間や、それが正論で現実的ならば、子供の意見を元老院の意見よりも優越させるような人間がそうである。私は彼らを一流と呼ぶ。たとえ実力は三流並みであっても、相応しい態度を持っていれば、一流の道も近いというものだ。